中国人の国民性をよく表している単語である「关心」について書きます。
中国語のテキストで、「欧米人が中国文化に対して慣れないもの」といったテーマのときに必ずと言っていいほど登場する語が「关心」です。
次の文章は、『我的汉语教室 中级(二)』からの引用です(日本語は筆者訳)。語り手はアメリカ人女性で、中国人について話している設定です。
他们很热情,对我也很客气,但是有时候他们对我们特别关心,喜欢了解我们的事情,还问我一些个人的问题。
彼ら(=中国人)はとても心がこもっており、私に対して丁寧です。でも、ときどき彼らは私たちに関心がありすぎます。私たちの事情をいろいろと知りたがるのです。私に個人的なことを聞いてくることもあります。
每次他们看见我的孩子,总是喜欢摸摸他们还要给我提点儿建议。开始的时候,我很生气.理解不了为什么他们这么喜欢关心别人的事情。
彼らが私の子どもを目にすると、いつも子どもたちをなでて、さらに私に何か意見を言ってきます。最初は、私はイライラさせられたし、彼らがなんで他人の事情を好んで詮索するのか理解できませんでした。
后来我的朋友告诉我这是中国人表达友好的哟种方式。现在我碰到他们的时候也会和他们聊聊天儿,抱抱他们的孩子。我觉得我越越来越适应上海的生活了。
のちに、友達がこれは中国人の友好の印だと教えてくれました。今では彼らとばったり会ったらおしゃべりするし、彼らの子どもを抱っこします。私は少しずつ上海生活に慣れてきていると思います。
と、こんな調子で、他人の事情にどんどん首を突っ込んで聞いてきたり意見してきたりする中国人に辟易した様子が語られています。確かに、個人主義のアメリカ人にとっては簡単に受け入れがたい文化の一面かもしれません。
关心を辞書で引くと、「心をよせる」「気にかける」「関心を持つ」と書いてあります。中国語の先生に聞くと、この「关心」は中国人の特徴をよく表している言葉だとか。
先生曰く、中国人は他人にいろいろ聞いたりするが、これは本当に深く詮索したいわけではなく、彼らにとっては挨拶に代わるようなものだそう。
広州(先生が住んでいる都市)のような都会では、近所の関係は希薄だし、見ず知らずの人に「关心」になるようなことはないが、农村(農村、田舎)だと顕著だとか。
例えば、农村では近所の人に「你好とか早上好とか、挨拶することはない」とのこと。代わりに「上班吗?(ご出勤ですか?)」とか、具体的に相手の状況を聞くのだそう。
これを聞いて、以前ネットで「中国人は你好と言わない」と書いてあったのを思い出しました。先生曰く「你好も早上好も外国人に使う用だよ」と言い切っていました(笑)。
まあ、広州の飲食店などで店員さんから「你好」と言われることはあるので、「全く使わない」は嘘だと思うのだけど、日本人や欧米人の「こんにちは」や「How are you?」に比べたら使う頻度は低いのかもしれません。
とにかく、先生曰く、相手に关心することが、相手への配慮や好意を表すことなのだそう。关心の目的は、相手への詮索ではなく、配慮や好意を表すことにあるのですね。
思い返せば、私が広州にいた頃も、中国人の友達は「結構、关心」だった気がします。中国人の友人が、知人の日本人の赤ちゃんを見るたびに「抱っこさせて〜」と言って抱っこしてたのを思い出します。で、赤ちゃんが毎回泣くんだけど、懲りずに毎回会うたびに抱っこしてた(笑)。日本人なら、一回泣かれたら遠慮...となりそうなところだけど、そこで毎回抱っこするのは「关心」の表れなのかなと思います。
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